1月26日2 分
Part.1で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の優先順位がワインとは大きく異なります。
3番目に優先順位が高い要素となるのは、「旨味」。
ワインペアリングにおいては限定された手法に留まる「旨味」の活用が、日本酒では非常に重要な要素となります。
ではまず、ペアリングにおける「旨味の基礎理論」が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。
料理か飲料のどちらかに強い旨味が存在している場合、双方の繋がりを強める「ブリッジ(接続)」の効果が働きます。
ブリッジは基本的には、「調和」のカテゴリーに属していますが、片方だけでも成立するため、特殊なアプローチが必要です。
また、双方に旨味が存在している場合、掛け算のように効果が強まる性質をもち、他の五味間に中和系の効果が働いている場合も、効果が強まります。
元々旨味に富んだ日本酒の場合、程度の差こそありますが、基本的にこの「ブリッジ」は、ほぼ自動的に発生します。
ワインペアリングでは微調整がかなり難しい手法となりますが、日本酒の利点は「幅広い旨味」によって、ブリッジの効果を最大限にまで高められることにあると言えるでしょう。
ブリッジの効果を積極的に用いる場合のポイントは、日本酒側の旨味レベルの調整にあります。
料理側に旨味が少ない、もしくはほとんど無い場合、日本酒側の旨味が強すぎると、料理の繊細な部分を覆い隠してしまいます。
このようなケースにおいては、旨味が少ない傾向にある吟醸酒を中心に選定していくと良いでしょう。
料理側の旨味が強くなるにつれ、日本酒側も同様に強めていくと、ブリッジの効果が加速度的に上昇します。
料理側の旨味が中程度であれば、一般的な純米酒、特別純米酒、うす濁りなどが有効です。
料理側に強度の旨味が存在している場合は、山廃、生モト、「濃醇旨口」タイプ、熟成酒などが輝きます。
また、塩味と旨味が強い料理に対して、無濾過生原酒などを用いて、日本酒の甘味で料理の塩味を中和しつつ、旨味で強力なブリッジを成立させる、といった「旨味」を積極的に活用した複合的なアプローチも、日本酒ペアリングならではのものと言えます。
この複合アプローチの例としては、チーズとの組み合わせが挙げられます。
特にパルミジャーノ・レッジャーノなどの、アミノ酸が結晶化するハードチーズとは抜群の相性を誇ります。
ワインではできないアプローチの最たるものが、この旨味の活用にありますので、日本酒ペアリングに挑戦する際は、優先順位の高い甘味と風味の要素をしっかりと意識しつつ、旨味による更なるプッシュを目指してみてください。