2月13日14 分

臥龍鳳雛 <ポルトガル特集:知られざるDouro編>

Vinho Verdeでのツアーを終えた後、個人で取材を行うために、Douroの中心地であるCima Corgoへと向かった。

 

ポート・ワインのリサーチを更に進めることは早々から決めていたが、スティル・ワインとしてのDouroに関しては、どこに焦点を当てるか随分悩んだ。

 

二日半しかない期間の内、半分はPort用の葡萄畑を訪れるスケジュール。

 

選択肢は無数にあったが、時間は限られていた。

 

その中で、メインターゲットとして私が選んだのは、おそらくワイン識者のほとんどが知らず、ワイン愛好家の大部分が興味など示さないであろうエリアだった。

 

なぜその場所へ行くことにしたのか。

 

「そこに呼ばれている気がした。」

 

もっともらしい理由は、それだけだった。

 

ローカルのタクシー運転手には、「なぜジャーナリストがあんな場所へ行くんだ。何もないぞ。」と牽制されたが、気にも止めなかった。

 

Cima Corgo北部

ピニャオンの町を取り囲む壮大なテラス状の葡萄畑は、世界遺産としても良く知られている。

 

ピニャオンから町から北へと車を走らせてからおおよそ20分ほど、Cima-Corgo屈指の銘醸エリアとされるValle de Mendizの少し先までは、その景観を楽しみ続けることができるが、それ以降は急激に様子が変わる

 

三次元的にダイナミックに広がる段々畑の景色から、緩やかな傾斜の葡萄畑が延々と続く高原エリアへと変わるのだ。

 

標高は600mを超え、ピニャオンとは全く異なる強烈な寒気が肌を突き刺す。

 

このエリアだけに与えられた公式な「ワイン産地名」は特に無い。あくまでもCima Corgoの一部となるのだが、低地の銘醸エリアとは、東京と長野ほど気候が異なる

 

中心となる町の名からAlijó(アリージョ)と呼んでも良いだろうし、高標高という特徴から、Cima Corgo Altoと呼んでも良いだろう。

 

直感的に、後者の方が記憶に残りやすいと感じるため、本稿では以降、Cima Corgo Altoとしておこう。

 

Cima Corgo Altoは、かつて重要な役割を与えられながらも、今では世界に忘れられた場所だ。

 

歴史的に、スティルワインの産地としても、ましてやポートの産地(そもそも標高が高過ぎて、ポート用の葡萄と認められない。)としても、Cima Corgo Altoが高名だったことは無い。

 

主要葡萄品種はMoscatel GalegoMuscat Blanc à Petits Grains)で、この地では専らブランディーの原料となってきた。

 

そう、かつてポートワイン造りに使用されるブランディーもDouro産であることが義務付けられていた時代、その大部分を担ってきた重要産地こそ、Cima Corgo Altoなのだ。

 

しかし、1990年代の法改正によって、他産地のブランディーを使用できるようになって以降、Cima Corgo Altoは急激に衰退した。

 

2000年代初頭までには、ブランディー造りを担っていた協同組合が次々と倒産し、Cima Corgo Altoは没個性なバルクワイン産地へと成り下がった。

 

そのまま、ワイン産地として消滅へと向かっていくかとも思われたCima Corgo Altoだが、時代の流れが思わぬ形で追い風となり始めた

 

パワーワイン全盛期が過ぎ去り、食のライト化と共に、ワインもライト化へと大きなシフトチェンジが起こり、奇しくも温暖化が進んだ。

 

Cima Corgo Altoは、葡萄が熟さない冷涼過ぎる弱小産地から、世界中のワインメーカーが探し求める、限界的生育条件が整った真の冷涼産地へと変貌したのだ。

 

更にCima Corgo Altoには、Douroのどこにもない特別なテロワールがある。

 

Alijó Plateau(アリージョ高原)と呼ばれる標高約600~800mに広がる一帯は、Douroの一般的なシスト(片岩)土壌ではなく、グラニット(花崗岩)土壌となっているのだ。

 

高標高故の冷涼な気候、強烈な昼夜の寒暖差、日中の強い日照、そして花崗岩と片岩が入り混じる土壌。

 

フレンチワインファン、もしくはナチュラルワインファンなら伝わるかも知れない表現に置き換えよう。

 

Cima Corgo Altoには、フランスに残された数少ない真の冷涼産地として注目を集める、オーヴェルニュ地方に通ずる魅力がある。

 

教授と呼ばれるリーダー

現在のCima Corgo Altoを語る上で、欠かせない人物がいる。

 

周辺の仲間たちから、敬愛を込めて「教授」と呼ばれるティアゴ・サンパイオだ。

 

日本でもすでに人気の高いワイナリーとなっているFolias de Baco(直訳すると「バッカスの狂気」となるが、Foliasには「狂ったように騒がしい宴」という意味もある。)を率いるティアゴは、Cima Corgo Altoにルーツをもつワインメーカーだ。

 

アメリカ・オレゴン州で葡萄栽培学及び醸造学における博士号を取得し、ポルトガルに帰国したティアゴは、2007年にFolias de Bacoを立ち上げつつ、Vinho Verdeきってのナチュラル派ワイナリーとして知られるAphrosでは、今やポルトガルのスターワインメーカーとなったミゲル・ヴィセウと共にワインメイキングを担うなど、醸造コンサルタントとしても活躍してきた。

 

Folias de Bacoが所有する葡萄畑は9区画、合計約20ha。

2区画はワイナリー近辺(Sanfins do Douro)に、7区画はAlijóにある。

そのうち約10haは、樹齢80年を超える混植の畑だが、残りは植え替えが必要だった。

 

サスティナビリティを重要なテーマとして掲げ設立されたFolias de Bacoだが、葡萄畑を所有していた祖父をはじめとする一族を説得するのに時間がかかってしまい、オーガニック転換は段階的に進めざるをえなかった。

 

しかし、現在は部分的にビオディナミ農法のアイデアも取り入れ、自然に寄り添った栽培を行っているティアゴは力強く語る。

 

「Alijó(Cima Corgo Alto)でオーガニック栽培をするのは難しくない。霧がかかるエリアよりも高い場所に葡萄畑があるから、ベト病のプレッシャーも低い。(多湿な)Vinho Verdeだったら10回以上のボルドー液散布が必要になるような年でも、ここならどれだけ多くても3回で済む。カヴァークロップのコントロールは少し大変だけど、そこは献身的でさえあれば問題ない。私にはここでオーガニック栽培ができない理由なんて、何も思い浮かばないよ。」

 

 

ティアゴ自身が「慎重すぎた。」と語るように、ワイナリー当初は慣行的な醸造を行っていたが、2010~2011年にかけて培養酵母の添加をストップし、その後は濾過と清澄を止め、抽出を弱め、亜硫酸添加も必要最小限に留めるようになった。

 

醸造に関するあらゆる現代的な技術を知るティアゴだからこそ、「不必要なもの」をスマートに排除することができたのだろう、現在のFolias de Bacoは、クリーン・ナチュラルのお手本的ワインとなっている。

 

テイスティングはタンク試飲とボトル試飲で、その総数はなんと18種

 

どれも非常に興味深く、素晴らしいワインであったため、簡易的(極めてスピーディーなテイスティングだった)ではあるが、割愛せずに全て紹介していこう。

 

なお、全てのワインにCima Corgo Alto特有のテロワールを感じさせる冷涼感と強いミネラリティが備わっていた。

 

No.1:Rabigato 2023(タンク試飲)

単一品種のラビガト。高い酸とソルティーなミネラル感が特徴的で、程よくアロマティックなワイン。ミッドパレットが充実しており、Cima Corgo Altoへの高い適性を感じさせる。

 

No.2:Alvarinho 2023(タンク試飲)

より純粋な花崗岩土壌の区画から。高い酸、ソルティーなミネラル感、フレッシュでジューシーな果実味は、Vinho Verdeのものとは大きく異なる魅力的な個性。

 

No.3:キュヴェ名未定 2023(タンク試飲)

ゴウヴェイオ、アリント、ヴィオシーニョを混醸したこのワインは、ほのかなトロピカルフレーヴァーと、ライトなテクスチャー、極めて高いドリンカビリティが魅力。初の試みとなるBag in Boxとしてリリースするかどうか、考え中とのこと。

 

No.4:Rose 2023(タンク試飲)

主にピノ・ノワールで、少量のティンタ・フランシスカをブレンド。ダイレクトプレスタイプの淡いロゼで、スリムな体躯と抜群のフレッシュ感が光る。

 

No.5:Curtido Moscatel 2023(タンク試飲)

コンクリートタンクで4ヶ月間のマセラシオンを行ったモスカテル・ガレゴ。フルーティーな味わいの中に、確かなフォーカスがあり、しなやかなタンニンが心地良い。

 

No.6:Uivo Renegado 2023(タンク試飲)

2区画の混植畑(黒葡萄、白葡萄が混在)を混醸。マセラシオン期間を短くとどめた、軽快でミネラリーな淡い赤ワインとなる。まさにCima Corgo Altoならではのワインであり、Folias de Bacoを代表するワインの一つ。

 

No.7:Uivo Lameiras 2020(タンク試飲)

黒葡萄のみが植えられた混植の区画から。粘土質土壌の特殊な区画となり、重心が低く、ストラクチャーのはっきりとした酒質となる。熟成には栗樽を使用。

 

No.8:Uivo Lameiras 2023(タンク試飲)

よりフルーツ感が際立つが、本質的な味わいは2020年と同じ。ティアゴがいかにテロワールに正直なワインメイキングを行っているかが、この垂直試飲で確信できた。

 

No.9:Uivo Renegado Vinhas Verhas Tinto 2023(タンク試飲)

No.6のUivo Renegadoよりも、タンニンのストラクチャーが際立つが、強烈なミネラリティーはそのまま。傑作ナチュラルワインを多数手掛けるFolias de Bacoの中でも、白眉の一本。

 

No.10:Pet Nat Rose(ボトル試飲)

主にピノ・ノワールから。フレッシュでチャーミングな果実味、丸みを帯びた酸が絶妙。

 

No.11:Moscatel Galego 2022(ボトル試飲)

フレッシュなマンゴーを思わせる香味、穏やかな酸が、抜群のドリンカビリティへと繋がる快作。

 

No.12:Uivo Renegado Vinhas Verhas Branco 2021(ボトル試飲)

赤ワインと同じ区画から、白葡萄を選り分けて混醸。ミネラルの塊のような酒質が凄まじい大傑作ワイン。栗樽で熟成。

 

No.13:Loureiro 2019(ボトル試飲)

醸造コンサルタント先であるAphrosの葡萄を使用し、全房のままラガール(足踏みで破砕した後、浸漬、発酵を行う花崗岩製のプール)で三日間発酵。Vinho Verdeの葡萄をDouroの手法で仕上げた意欲的なキュヴェとなる。スパイシーなピラジン風味が、ロウレイロのフレッシュ感を更にブーストさせている。

 

No.14:Semi 2022(ボトル試飲)

混植畑の葡萄を、50%セミ・カーボニック・マセレーションで発酵。ジューシーで軽やかな果実味、ヴィヴィッドな酸が非常に心地よい。

 

No.15:Uivo Tinta Francisca 2020(ボトル試飲)

ベト病に弱く、栽培が難しい品種だそうだが、自然と低収量になり、その味わいは極めてピノ・ノワール的なものとなる。

 

No.16:Uivo Renegado Vinhas Verhas Tinto 2019(ボトル試飲)

熟成を経たボトルは、驚くほどの調和に達していた。Cima Corgo Altoのただならぬポテンシャルを証明する、偉大なワイン。

No.17:Uivo Cronologico Tinto 2011(ボトル試飲)

混植畑から選りすぐった葡萄を全房発酵し、5年間の樽熟成、5年間の瓶熟成を経てリリースされたワイン。醸造がナチュラルへと移行していく段階へのワインであり、現在のワインよりも明らかに強い抽出を感じるが、その完成度は極めて高い。

 

No.18:Uivo Cronologico Branco NV(ボトル試飲)

Folias de Bacoのラインナップの中でも、最も実験的なキュヴェ。2008年から2018年ヴィンテージまでが、ソレラ方式でブレンドされている。フレッシュ感と酸化的ニュアンスが交錯する複雑な味わい、非常に長い余韻。異質だが、素晴らしい。

 

胎動する高地

Folias de Bacoのセラーでスピーディーにテイスティングを進めていると、ワインボトルを抱えた若者たちが、次々とやってきた。

 

限られた時間の中で、Cima Corgo Altoのワインを色々とテイスティングできるようにと、ティアゴが彼らに声をかけてくれていたのだ。

 

凍えるようなセラーの中で、彼らの熱気には圧倒された。

 

みな、Cima Corgo Altoに、Alijóの高原に強い思い入れをもつ造り手たちで、ワインもテロワールに正直な、実に素晴らしいものだった。

 

また、Bairrada特集で紹介したルイシュ・ロペシュや、別記事で紹介予定のルイシュ・カンディド(ニーポートのワインメーカー)も、Cima Corgo Altoの面々と非常に仲が良い。

 

すでに若きスターとして知られているロペシュやカンディドがCima Corgo Altoに足繁く通い交流を深めているのは、志を共にする同世代の仲間たちがいるからだけではない。彼らはCima Corgo Altoのテロワールに、心から惚れ込んでいるのだ。

 

*ポルトに戻るための列車の時間が差し迫っている中でのハイスピードテイスティングだったため、ヴィンテージ情報など細かい部分が所々抜けているが、ご容赦いただきたい。

João Pires

ジョアオン・ピレシュは、スパークリング・ワインをメインとする比較的大きなワイナリーでワインメーカーを務める傍ら、Cima Corgo Altoの葡萄を使った自身のワイン造りにも挑んできた。日常の「仕事」とは異なり、プライヴェート・ラベルでは、もっぱらナチュラルなアプローチを心がけている。

Melanina Branco 2021

ドンゼリーニョ、ゴウヴェイオ、マルヴァジア・レイが混植された樹齢80年を超える畑の葡萄を混醸したワインと、別の畑に植るアリントを5日間ラガールで浸漬し、アンフォラで発酵させたワインをブレンド。極めて多層的なアロマ、強靭なミネラル感が秀逸なワイン。

 

Bardino 2020

ティンタ・ロリス(テンプラニーリョ)50%、残りは黒葡萄主体の古い混植畑から。見事なストラクチャーと力強さがありながらも、Cima Corgo Altoらしい抜群のフレッシュ感が魅力的。奥深いフィネスも感じる。

 

 

Jo & Co.

Cima Corgo Altoの仲間たちの中でも、際立って陽気なジョー(苗字は不明)は、代々Cima Corgoで葡萄栽培農家を営む一族に生まれ育った。ジョーの一家はオーガニック栽培にも早期から取り組んでおり、その葡萄の供給先には、ニーポートなどのビッグネームが次々と挙がってくる。まさにCima Corgo Altoのテロワールを栽培面から知り尽くした彼は、極小規模ながら自らワインも造り始めた。もちろん、テロワールに従順な、素晴らしいワインだ。

Atitude Arinto 2021

花崗岩土壌の区画から。柑橘のフレッシュなアロマ、豊かな酸、タイトで集中力の高いミネラル感が素晴らしい。比較的ニュートラルな特性のアリントだからこそ、Cima Corgo Altoのテロワールが精密に描写されているのだろう。

 

No Label Branco(ヴィンテージ不明)

アリントとヴィオシーニョのブレンド。ステンレスタンクのみで発酵熟成を行い、徹底して明るくクリーンなフルーツと、極めて高いフレッシュ感が魅力。

 

Atitude Tinto 2019

片岩土壌の区画から。ティンタ・フランシスカ(トゥリガ・フランカ)主体、全房100%で発酵。どことなく、フランス・サヴォア辺りのピノ・ノワールを思わせる個性が非常に魅力的。

 

No Label Tinto(ヴィンテージ不明)

標高800m、花崗岩土壌の古い混植畑(約8割が黒葡萄)から。まさにアリージョ高原の粋が詰め込まれたようなワインで、そのただならぬフィネスに圧倒される。

 

 

Rebuscado

2018年からFolias de Bacoでティアゴと共に働く二人のシャイな若者(ダニエル・ミランダ、ジョアオン・メイヘレシュ)が、同ワイナリー内で手がけるプライヴェート・ラベル。ティアゴの教育が良いのか、実に理路整然としたワイン解説に、Cima Corgo Altoの明るい未来を見た。

Branco de Maceração (ヴィンテージ不明)

アリントとゴウヴェイオからなるオレンジワイン。非常に軽快でフレッシュな味わいからは、彼らの先進的なヴィジョンが垣間見えると同時に、優美なエレガンスも漂う。

 

Maceração Carbonica 2022

ティンタ・フランシスカ70%、トゥリガ・ナシオナル30%。カーボニック・マセレーションの特性を存分に活かしつつも、Cima Corgo Altoらしいフレッシュ感に満ちた、極めてドリンカビリティに長けた一本。

 

III Pipas(ヴィンテージ不明)

トゥリガ・ナシオナル90%、ピノ・ノワール10%。高いアルコール濃度を感じさせる、Cima Corgo Altoのワインとしてはやや異質なキュヴェだが、品質は高い。限界熟度へと果敢に挑戦する若者の、強い意志を感じたワインだった。

 

 

 

Familia Silva Branco

Alijóに拠点を置くFamilia Silva Brancoは、仲間たちの中では際立ってクラシックなワイン造りが特徴。とにかく真面目そうなペドロ・ブランコの人柄が、にじみ出てくるような味わいだ。仲間たちとワインの方向性は違っても、Cima Corgo Altoのテロワールに向き合う情熱は一緒。そういう多様性が、新興産地をバランス良く育てていくものだと、心から思う。

Branco 2021

Douroの伝統品種をブレンド。片岩と花崗岩土壌が入り混じる標高600m前後の区画から。古樽で発酵熟成し、よく開いた豊かな果実味、洗練されたミネラル、フレッシュでフローラルなアロマが印象的な一本。

 

Tinto 2019

トゥリガ・ナシオナル、トゥリガ・フランカなど、Douroの伝統品種をブレンド。標高450m前後の区画から。しっかりとしたストラクチャーと、フレッシュ感に優れたフルーツがバランス良く交錯する逸品。

 

Pedigree 2018

Tintoと同様に伝統品種のワインだが、標高がさらに下がる250m近辺の区画から450mまでの区画をブレンド。新樽比率50%という仕様は、パワー感のある中高地の葡萄だからこそ成立。高い凝縮感と、見事なフィネス。縦方向の伸びやかさと、バランス感に優れた見事なワイン。

 

 

Fingerprint

Fingerprintは、Douroにおけるトラディショナル製法によるスパークリングワインの先駆者として知られるCaves Transmontanasで、その代表銘柄となるVérticeの躍進に貢献してきた歴戦の醸造家ペドロ・グエデスが、極少規模で手がけるワイン。

Grand Reserva 2021

Fingerprintとして唯一リリースしているのが、このGrand Reservaのみ、という潔さが、ペドロの哲学そのものなのだろう。標高550m近辺の葡萄畑に植る伝統品種を用い、フレッシュな赤ベリーのアロマが心地良く、緻密で繊細ながらも、奥深い力強さを宿したワインに仕上げている。

 

 

 

結束して未来へ

Folias de Bacoに集結した、様々なバックグランドをもつ造り手たちのワインは、どれも生産量が非常に少ない。超マイナー産地の造り手として、個々でアピールしていくには、どう考えても限界がある量だ。

 

だからこそ、彼らは結束している。

 

共にCima Corgo Altoのテロワールを追求し、共に新たな可能性を模索し、共に技術を高める。

 

個から集へとその力の性質が変わった今、Cima Corgo Altoのワインが躍進する日はそう遠くないはずだ。

 

誰も知らないような場所を訪れる決断をして、心から良かったと、私はこれ以上ない満足感と共に、また名高い世界遺産の景色へと戻って行った。