後編となる本編では、シャンパーニュ地方の未来が様々な角度から見え隠れする内容となる。
決して良いことばかりではないが、それでもシャンパーニュ地方は先へ先へと進んでいるのだ。
コトー・シャンプノワ
かつては珍品の類であり、価格もギリギリ相応と言えるものだったコトー・シャンプノワ(シャンパーニュ地方で造られる非発泡性ワインで、品種は主にピノ・ノワールとシャルドネ)が大きな転換期を迎えている。
ここにも温暖化の影がちらつくが、コトー・シャンプノワをリリースするシャンパーニュ・ハウスがかなり増えたのは間違いない。
流石の技術力もあってか、品質的にはなかなか優れたものが多いが、その高価格は(少なくとも個人的には)許容できる範囲を超えている。
理由は明確だ。
シャンパーニュはそもそも無敵の存在であるが、コトー・シャンプノワは違う。
スパークリング・ワインというカテゴリーにおいて、世界各国の技術水準が大幅に上昇したにもかかわらず、極上のシャンパーニュに並び立つワインは、このカテゴリー内には、いまだに存在していない。つまり、無敵ということだ。
それがどのようなフランス他所のクレマンであっても、イタリアのフランチャコルタであっても、スペインのカヴァ、ドイツのヴィンツァーゼクト、南アフリカのMCC、南イングランドのブリット・フィズ、アメリカ・カリフォルニアやオーストラリア・タスマニアのスパークリングであっても、シャンパーニュの最高到達点には及ばない。
そして、シャンパーニュが無敵であり、孤高の絶対王者であるなら、どれだけ価格が高騰しても、「仕方ない」と納得せざるを得ない。
残酷で無慈悲だが、市場原理とは元からそういうものだ。
しかし、コトー・シャンプノワの場合は話が異なる。
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