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真・日本酒評論 <5> 飲みやすさの進化系

<正雪:純米大吟醸 天満月>


飲みやすい酒。水のような酒。


この表現が褒め言葉なのか、そうでないのかは、実にややこしい問題だ。


古典的な反論は、「水のように飲みやすい酒が飲みたいなら、水でも茶でもレモンサワーでも飲めば良い。」だとか、「酒は飲んだら酔うのだから、飲みにくいくらいがちょうど良い。」と言った、実に正論と言えるもの。


そのジャンルの玄人になればなるほど、飲みやすい酒という表現を嫌う傾向も見られるが、さらに突き抜けたところになるとまた話が違ってきたりするのが、難しいところでもある。


例えばワインなら、ロマネ・コンティやシャトー・マルゴーは究極的な意味で「飲みやすい酒」と表現して差し支えないだろう。


スコッチ・ウィスキーで最も「飲みやすい酒」がマッカランであることに異論を唱える人は、どう考えても少数派だ。


もし、同じことが日本酒にも当てはまるのであれば、中途半端に飲みやすい酒は賛否両論、突き抜けて飲みやすい酒は称賛の的となるのかも知れない。


むしろ、大量の水を原料とし、各酒蔵の仕込み水の水質が酒質にも大きく影響する日本酒だからこそ、「水のように飲める酒」という言葉とは、とことん真剣に向き合うべきなのかも知れない。

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