ワイン王国フランス。
おそらく、ワインを学んできた人々の大多数が、最初にその知識を深めた国だ。
もちろん、生産量世界一位の座をもう一つのワイン王国であるイタリアと毎年のように競いあっているフランスが、世界で最も重要なワイン産出国の一つであることには、疑いの余地もない。
また、ニュー・ワールド諸国で栽培されている主要葡萄品種のほとんどが、「フランス系国際品種」(そのオリジンはさておき)に該当するという点においても、フランスが世界的なワインの「基準」となっていることも事実。
さらに、テロワールの横軸(差異)と縦軸(優劣)の両方において、「格付け」、「原産地呼称制度」というアイデアを高次元で先導してきたのもフランスだ。
このように、ワインという飲み物を世界規模で理解する(イタリア、スペインなど、特定の国に専門化した場合はその限りでは無い)のであれば、確かにフランスは避けて通れない。
世界的銘醸地とされるシャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュの名声は天よりも高く、ロワール、アルザス、ローヌ、プロヴァンス、ジュラなどもじっくりとその地盤を固めてきた。
まさに鉄壁。
そう思いたいところだが、少なくとも「クオリティの基準」としてのフランスには、綻びが生じ始めている。
主たる理由は2つ。
1つは、(特に高名な産地における)販売価格の強烈な高騰にある。