しかし、このカテゴリーは、数多くの誤解をされているため、
いくつかのテーマに分け、改めて整理整頓しながら検証していきます。
1. 名称
オレンジワインという名称は、イギリスのインポーター発祥だそうです。
オレンジワインが必ずしもオレンジ色をしていない、オーストラリアにオレンジという産地がある(この理由を気にする人はほぼ居ないようですが)、と言った理由で、アンバーワイン、醸し発酵ワイン(オレンジワイン以前の一般的な呼び名)、ブラウンワイン等々、様々な名称が乱立しました。
しかし、この名称論争に関しては、圧倒的な市民権を獲得したオレンジワインの圧勝と言っても良いでしょう。
ワインのカテゴリー名とは、ただのシンボルです。
必ずしもそのシンボルが示す色と一致する必要など全くありません。
真っ赤な赤ワインなどありませんし、
ロゼワインのどのあたりが薔薇色なのかも曖昧ですし、
真っ白な白ワインも存在しません。
これらの事実からも、オレンジワインがオレンジ色じゃない、という論争が本質的に破綻している事は明白です。
2. オレンジとナチュラル
オレンジワイン=ナチュラルワイン
では決してありません。
赤、白、ロゼ、スパークリングと同様に、カテゴリー名とは、「製法に付与される」ものです。
つまり、
「クラシックな白ワイン」というフレーズが、
「クラシック」と「白ワイン」という二つのシンボルを用いて表現されているように、
「ナチュラルなオレンジワイン」という言葉の使い方が正しいとするべきでしょう。
3. 特徴
①タンニン
僅かにでも(樽由来ではない)タンニンが存在している。
果皮や種子ごと漬けこんで発酵させるので、
正しいオレンジワインには、必ずタンニンが相応に存在しているはずです。
正し、タンニン量は、葡萄品種や生育環境、浸漬時間にも左右されますので、
オレンジワイン=タンニンが強い、とは限りません。
②酸化的特徴
酸化的特徴(褐色化した色調と、フレッシュナッツの様な香味)は、
しばしばオレンジワインと結び付けられますが、
これは正しいとは言えません。
確かに、オレンジワイン復興の初期には、酸化的特徴が強くでたワインが多かったのも事実ですが、現状は異なると明確に言い切れます。
発酵容器の種類、目減り分の補充頻度、発酵温度等の管理などで、
酸化的特徴のコントロールができるからです。
③土甕発酵
オレンジワイン=土甕発酵ワイン、では決してありません。
4. 製法上の特徴(総体的定義)
オレンジワインというカテゴリーの定義は、
製法上の特徴に限定するべきです。
そうすることによって、オレンジワインというカテゴリーが、
赤、白、ロゼ等と同じラインに立つことができるからです。
では、総合的に見た定義を、いくつかの項目に分けて検証していきましょう。
①葡萄品種
白葡萄、もしくはグリ系葡萄の単独使用、もしくは混醸
②醸造方法
葡萄の果皮(場合によっては、種と果梗も)を果汁と共に発酵させる。
漬け込み期間に関しては議論の余地がありますが、
「3日以上」が妥当と思われます。
まとめますと、つまりオレンジワインとは、
1. 白葡萄、グリ系葡萄の果汁を三日以上、果皮(種と果梗もOK)を漬け込んだ状態で発酵させたワイン
2. 実際のワインの色は関係ない
3. ナチュラルワインと同義ではない
4. 必ず葡萄由来のタンニンを含む
5. 酸化的特徴は必須ではない
6. アンフォラ等の土甕で発酵させる必要はない
という条件を満たしたワインのことです。
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