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イタリアで最も偉大な産地 <ピエモンテ・ネッビオーロ特集:第三章>
バレバレスコに想いを馳せると、いつもやるせない気持ちになる。偉大なるバローロの栄ある光は、バルバレスコに深い影を落とし続けてきたからだ。そう、バルバレスコに与えられた地位は、 永遠のNO.2 。ワインファンに「イタリアで最も偉大な赤ワインは」と尋ねると、おそらく90%程度はバローロと回答するだろう。残りの9%はトスカーナ州のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、そして 1%がバルバレスコ といったとこだろうか。実は、 筆者はこの1%に属している 。私はこのことを隠すことも、ましてや恥じることも一切ない。90%の超多数派が私をなんと罵ろうとも、私にとってイタリア最高の赤ワインは、バルバレスコなのだ。 バローロとバルバレスコの違いは、ブルゴーニュに当てはめるならシャンベルタンとミュジニーの違い 、と表現しても差し支えないだろう。不思議に思わないだろうか。ブルゴーニュ・ファンなら、意見が真っ二つに割れるような「違い」であるにも関わらず、なぜかバローロが圧倒的な優勢を保ち続けてきたことを。その本質は結局のところ、「 無知 」にある。 我々の多くは、ブルゴーニ

梁 世柱
2021年12月10日


ワインの王、王のワイン <ピエモンテ・ネッビオーロ特集:第二章>
過日、とあるワイン初心者の方から質問を受けた。ピエモンテ州の同じ造り手で、DOCGのワイン(Dogliani)よりも、DOCのワイン(Langhe Nebbiolo)の方が高いのは何故か、と。DOCGは最高位格付けでは無いのか、と。 まさに 雨後の筍 。次々と認定され続けるイタリアの最高位格付けたるDOCGは、 既に意味消失して久しい 。それは、ピエモンテ州に限ったとしても同様だ。Barbera d’Asti、Dolcetto di Dogliani Superiore、Erbaluce di Caluso、Ruche di Castagnole MonferratoといったDOCGは確かにどれも注目に値する素晴らしいワインだが、最高位格付けにふさわしい「 品格 」は無い。いや、品格の話をするのなら、最高位に座せるのはピエモンテ州では ネッビオーロしかそもそもあり得ない 。そして、その頂点は当然、 BaroloとBarbaresco だ。 本章では、ピエモンテ州の真に頂点たる2つのDOCGの中から、 Barolo に焦点を当てて、細かく追っていく

梁 世柱
2021年11月28日


出会い <2> ピエモンテのライジングスター
Nicholas Altare, Langhe Nebbiolo 2019. ¥4,900 イタリアの ピエモンテ州 といえば、なんといっても ネッビーロ という黒葡萄から造られる、 バローロとバルバレスコ が有名です。イタリアに数多くある最高の赤ワインの中でも、頭ひとつ抜けた存在といえるワインですが、2つほど難点があります。 1. 安くはない 2. 飲み頃の判断が難しい 偉大な産地のネッビオーロを、古典的なタッチで造るとどうしても超長期熟成型になりますし、多少最近風のタッチが加わったとしても、まだまだ若い間は固さが残りがちです。ワインショップでパッと買ってきて気軽に飲むには、残念ながら、なかなか難しいワインなのです。 ならば、ちょっと広い範囲で見れば近所のエリア(ランゲ地区)にある畑で栽培されたネッビオーロから造られた「 ランゲ・ネッビオーロ 」というワインはどうでしょうか?

梁 世柱
2021年11月14日


栄光は霧の中 <ピエモンテ・ネッビオーロ特集:序章>
目に飛び込んでくる世界が紅葉色に染まり、冬の足音が聞こえてくる頃になると、私はいつもピエモンテに想いを馳せる、そしてネッビオーロが恋しくなる。かすかにオレンジがかった魅惑的なワインのエッジがそうさせるのか、枯葉を思わせる滋味深いアロマがそうさせるのか。でも、その想いはいつも、もどかしさや、やりきれなさによって、少し苦い味になる。 偉大なバローロやバルバレスコが、なぜブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュに比べて、こんなにも過小評価されているのかと。 世界最高の黒葡萄の一つであるはずのネッビオーロが、なぜピノ・ノワールと並び称されていないのかと。 イタリアという国の長い歴史を振り返ってみると、いつの時代も、 肝心な時に一枚岩になり切れなかったことが、イタリアを真の栄光から遠ざけてきた ことがわかる。 そしてそれは、ピエモンテにおいても同じだ。 永劫に続くかのような分断と闘争の果てに、ピエモンテは、ネッビオーロは、いったいどこへ向かっているのだろうか。 今一度、確かめてみたい気持ちになった。 本章から全4章に渡って、ピエモンテ州のネッビオーロを特集す

梁 世柱
2021年11月10日


出会い <1> :無骨なブルネッロはステーキと
Ridolfi, Brunello di Montalcino Riserva “Mercatale” 2015 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 、通称ブルネッロ。イタリアンワインにありがちな、舌を噛みそうになる長い名前ですが、日本では全てのイタリアンワインの中でも五本の指(*)に入るくらいの知名度があると思います。しかし、レストランでも家庭の食卓でも、ブルネッロを見かける機会はかなり限られているのでは無いでしょうか?イタリアが誇る偉大なワインとして、その長い名前を丁寧に覚えてもらえているにも関わらず、あまり見かけないのは何故でしょうか? * 他は、ピエモンテ州の赤ワインである バローロとバルバレスコ 、トスカーナ州の赤ワインである キアンティ 、ヴェネト州のスパークリングワインである プロセッコ 。 キアンティに比べると小さい産地ですが、ものすごく小さいというわけでもありません。生産量もそこそこあります。ですので、どうやら 量が問題では無さそう です。

梁 世柱
2021年10月22日


運命の別れ時かも、サルデーニャ
最近思う。 もしかしたら、イタリア、サルデーニャ島のワインは未完の大器なんじゃないかって。 よく比較されるシチリアはメディアにも頻繁に登場し、レストランでもしばしば目にする。彼らは独自のキャラクターを身につけ、まるで華のある個性派俳優のようだ。それに対してサルデーニャワイン...

SommeTimes特別寄稿
2021年9月2日


古典的バローロ = 多様な土壌の集合体
伝統的な文化を変えず、現代的な造りで進化し、キング・オブ・イタリアワインとして多くの人達を魅了し続けてきたバローロ。 世界マーケットでの人気も上がり、価格高騰が始まっているワインの魅力と近年の動向を、注目される南西エリアの生産者「G.D.Vajra」のワインで探ってみたいと...

SommeTimes特別寄稿
2021年6月25日


飲んで覚えるワインの楽しみ
こんにちは。バルニバービの岩崎です。 今回は、ワインスクール講師としての視点からの内容でお送りします。 私は講師になってから、受験クラス以外にも初級クラスを担当させていただいてきました。 (現在は受験クラスと、テイスティングに特化した特別講座を担当しています。)...

SommeTimes特別寄稿
2021年6月18日


Chianti Classicoのサブゾーンを解き明かす
イタリアが世界に誇る銘醸中の銘醸、キアンティ・クラッシコ。広大なゾーンが認められている通常のキアンティと異なり、限定された集中的なエリアであるキアンティ・クラッシコ(以下、クラッシコと表記)は、平均的品質、価格共に、広域キアンティやその他のキアンティに連なるサブエリア(Ru...

梁 世柱
2021年3月18日


ど田舎的ソムリエライフ
熊本市内の学校に通っていた学生時代、ある運動部に所属していた。その競技は天草でも活発に行われていて強豪校も多く、特に天草出身の選手には大きな身体的特徴があった。体が大きな選手には強さだけでなくバネと柔軟性があり、体が小さな選手には速さだけでなくトリッキーな上手さがあった。味...

SommeTimes特別寄稿
2021年3月16日
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