2023年9月16日2 分
最終更新: 2023年10月7日
Vigne Sannite, Barbera Sannio DOP 2021.
日本ではなかなかお目にかかれない、ある種の珍品的ワインとの出会いは、海外行脚の醍醐味の一つだ。
イタリア・カンパーニャ州のサンニオ(詳しくは、今月末の特集記事にて)で出会ったのは、Sannio DOPとしてリリースされている、こちらのBarbera。
そう、カンパーニャ州のBarberaだ。
正確な年代は不明だが、地元の造り手いわく「大昔から」ここにある葡萄とのこと。
調べてみたところ、(イタリアでは良くあることだが)同じ葡萄の名前であっても、Barbera del Sannio(別名、Camaiola)は、ピエモンテ州のBarberaとは遺伝子的な類縁性は認められていないそうだ。
つまり、本家本元のBarberaとは、全く異なる葡萄ということになる。
Barbera del Sannioは、Aglianicoの補助品種として、その気難しさを「なだめる」役割を担ってきたそうだが、約15年前から、単一品種として仕込むケースが増え始めた。
とはいえ、サンニオが誇る偉大なDOCG、Aglianico del Taburnoにブレンドされることはほとんど無いとのこと。
ピエモンテ州のBarberaよりも果粒が大きく、三日月状の房を形成し、色素とアロマが強く、酸も高いが、渋味は穏やか。
果実味の重心は低く、どっしりとしているが、非常に鋭角でハイトーンな酸が周囲を跳ね回る。
ミッドパレットを補うタンニンがかなり不足していることも相まってか、なんともチグハグで粗野な味わいが、実に面白い。
鈍重でやや焦点のぼやけたテクスチャーになるので、少し低めの温度で引き締めた方が良さそうだ。
(そもそも別の品種だが)名称のややこしさも含めて、こういう変化球もまた、ワインライフの素晴らしいスパイスだと、私は思う。