4月10日3 分

SommeTimes’ Académie <59>(フランス・ボルドー地方:Fronsac周辺)

一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回もボルドー地方について学んでいきます。

 

ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。

 

ボルドー地方シリーズ第10回は、「ボルドー右岸:FronsacおよびCanon Fronsac地区」と致します。

 

 

Fronsac

Canon-Fronsac

ボルドー右岸エリアの入り口に位置するFronsacは約771haなのに対し、Canon-Fronsacは約243haとより小さなアペラシオンとなります。

 

両アペラシオンは似ている部分も多いため、まずは類似点を把握するのが良いでしょう。

 

共にドルドーニュ河からの距離が近い(右岸エリアの他産地と比べて)ため、ヴィンテージに品質が大きく左右される傾向がより顕著な右岸エリアにあって、高い安定感を誇ります。

 

土壌も共に粘土石灰質土壌が基本となりますので、全体的にメルロー比率が非常に高い傾向にあります。やや線の細い果実味と、強めのミネラル感も共通した特徴として現れます。

 

Fronsacのエリアは平地が多く、厚い表土のエリアから、しっかりと熟した赤ベリー系のニュアンスとスパイス風味が立ち現れます。

 

Canon-Fronsacは標高が少し上がり、斜面も増えるため、重心が高く、さらに線が細く、明るい赤ベリー系の果実味と少々のハーブ感が特徴となります。

SommeTimes的「新格付け」

SommeTimesによる「新格付け」では、Fronsac及びCanon-Fronsacにあるシャトーの中から厳選して、ボルドー左岸と同じ方式で格付けしていきます。

 

第一級〜第三級に相当するシャトーはありませんが、特に第四級相当としたシャトーのワインは、非常に高いコストパフォーマンスを誇ります。

 

両アペラシオンの広さの違いもありますが、冷涼感が出やすいCanon-Fronsacの方が、右岸エリアのクオリティスタンダードから外れやすい傾向は否めませんので、新格付けでもFronsac側に高評価が集中する結果となっています。

 

 

第一級〜第三級相当

なし

 

 

第四級相当

Fronsac

Ch. Fontenil 

Ch. Dalem 

Ch. Les Trois Croix

Ch. La Vieille Cure

Ch. Haut-Carles

 

解説:

Fontenilは、高名な醸造コンサルタントであるミシェル・ローランが所有するシャトーとなります。パワフルなワイン造りで知られる醸造コンサルタントが、自身が所有するワイナリーではエレガントなワイン造りをするのは非常に良くある話ですが、Fontenilもその例に漏れません。

 

Les Trois Croixは、左岸の第一級シャトーであるMouton-Rothchildとナパ・ヴァレーのOpus Oneで長年醸造責任者を務めた故パトリック・レオンが、息子のベルトラン・レオンと共に磨き上げてきたシャトーです。Fronsacらしいエレガンスが光る素晴らしいワインです。

 

La Vieille CureもFronsacを牽引するシャトーの一つで、セカンド・ラベルも造るなど、品質向上に余念がありません。

 

 

第五級相当

Fronsac

Ch. Carlmagnus

Ch. de la Huste

Ch. La Rousselle

Ch. de la Dauphine 

Ch. Moulin Haut-Laroque

 

Canon-Fronsac

Ch. Canon Pécresse

Ch. Gaby

Ch. Richelieu 

 

 

解説:

Fronsac及びCanon-Fronsacの第五級相当シャトーは、どれも優れたコストパフォーマンスを誇りますが、特にFronsacに関しては第四級相当との価格差は微々たるものとなりますので、相対的に重要度が下がります。

 

独特のしなやかで繊細な酒質が魅力的なCanon-Fronsacは、シャトーのサイズが全体的に小さいため入手は困難となりますが、Canon-Fronsacにしかない個性は探し出してでも味わう価値のあるものです。