3月27日2 分
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回もボルドー地方について学んでいきます。
ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。
ボルドー地方シリーズ第九回は、「ボルドー右岸:Lalande de Pomerol地区」と致します。
Lalande de Pomerolは、実質的にPomerolの衛星地区となりますが、Pomerolの総面積が約800haなのに対し、Lalande de Pomerolは1,154haとより大きなアペラシオンです。
アペラシオンとしてのLalande de Pomerolの中には、コミューンとしてのLalande de Pomerol(西側)とNeac(東側)が含まれています。
主要品種はメルローであるため、砂を多く含み平地も多いLalande de Pomerol(コミューン)よりも、粘土が主体で斜面も増えるNeacの方に、より優れたシャトーが集まっています。
立地としても、Neacの方がPomerolの最上位シャトー群が集まるエリアから、より近い場所となります。
一般的に、Lalande de Pomerol側のワインは、アロマティックでしなやかな酒質、やや高めの重心となり、Neac側のワインは、ややパワフルな酒質で重心が低くなります。
Pomerolとは違い、品質的に最上位クラスに入るほど優れたシャトーはありませんが、コストパフォーマンスに長けたカジュアルボルドーの産地としては、非常に魅力的なアペラシオンとなります。
SommeTimesによる「新格付け」では、Lalande de Pomerolにあるシャトーの中から厳選して、ボルドー左岸と同じ方式で格付けしていきます。
第一級〜第三級に相当するシャトーはありませんが、特に第四級相当としたシャトーのワインは、隣のPomerolと比べて、非常に高いコストパフォーマンスを誇ります。
第一級〜第三級相当
なし
第四級相当
Ch. La Fleur de Bouard
Ch. de Chambrun
Ch. Les Cruzelles
Ch. Grand-Ormeau
解説:
NeacにあるLa Fleur de Bouardは、ロバート・パーカーJr.によるパワーワイン全盛期に、90点代後半という超高評価を受けたこともあるシャトーですが、現在は(少々無理矢理な)パワー型の矯正から脱却し、本来のテロワールに忠実な良ワインとなっています。(皮肉なことに、欧米の評論家による評点は下落しましたが。)
その他の第四級相当シャトーも、例外なくNeac側に位置し、Pomerolを彷彿とさせる豊かな果実味とフィネスを両立させた味わいとなります。
第五級相当
Ch. La Pensee
Ch. de Bel-Air
Ch. Siaurac
Domaine des Sabines
解説:
Lalande de Pomerolの第五級相当シャトーは、どれも優れたコストパフォーマンスを誇りますが、第四級相当との価格差は微々たるものとなりますので、相対的に重要度が下がる傾向にあります。