2021年3月25日3 分

自宅にセラーが無い!

ワインファンの高嶺の花、自宅用ワインセラー。

高品質のセラーは目が飛び出るほどの高価格(安い中古車が買えるレベル)ですし、冷蔵庫サイズの家電が一つ増えるというのも、スペースに限りのある都心部の住宅では悩ましい問題です。

最近は小型で安価なセラーも充実してきましたが、果たして自宅用ワインセラーを導入すべきかどうか、どのように判断していけば良いのか、これもまた悩ましい問題です。

まずは、ワインにとってどのような環境が理想的で、そのような環境が好ましく無いのかを知っておきましょう。

理想的環境

① 8~15℃で温度が一定している

② 振動が少ない

③ ある程度の湿度がある

好ましく無い環境

① 温度が15℃を超える環境

② 温度変化が激しい環境

③ 強い振動

④ 極端な乾燥

⑤ 直射日光の当たる場所

となります。

これらを踏まえた上で、冷蔵庫とワインセラーがどう違うのかをお話し致しましょう。

冷蔵庫は、温度帯が固定されており、そのどれもがワインにとって理想的な温度帯とは言えません。そして、冷蔵庫内は比較的乾燥していますので、コルクも心配です。振動も大きめなので、ワインに多少なりとも影響が出る可能性があります。

ワインセラーは、ワインにとって理想的な温度に設定することができるのが最大の利点です。ですが、振動と湿度コントロールに関しては、安価なセラーの場合不十分なことも多いので注意しましょう。

次に、ワイン保存の目的別に見ていきましょう。

1. 長期保存(1年以上)して、熟成をさせたい。

この場合は、ワインセラーしか選択肢はほとんどありません。地下でエアコンの空気が入ってこないような環境でも無い限りは、長期熟成の為にはセラーが必要です。「冷暗室」であれば、という話もありますが、押入れの奥、のような環境では不十分なので注意してください。セラーの導入が難しい場合は、各種ワイン用の倉庫サーヴィスの利用をお勧め致します。

2. 短期間保存して、すぐに飲む。

結論から言うと、冷蔵庫の野菜室で十分です。温度は2~5℃と理想点よりは少し低いですが、野菜室は密閉構造になっていることが多く、湿度をある程度保つことができます。ですが、強い臭気を放つ食材(例えばキムチ)を同じ野菜室に入れると、コルクから臭気が侵入してしまう可能性がありますので、注意してください。スクリューキャップの場合は、気にする必要はありません。ワインセラーでしたら、セラーの温度設定によっては、セラーから出してすぐに適温の状態でワインを楽しむことができますが、冷蔵庫で保存した場合は、以下のタイミングで冷蔵庫からあらかじめ出しておくことをお勧め致します。

スパークリングワイン:10分前

軽い白やロゼ:20分前

しっかりとした白やオレンジワイン:30分前

軽い赤:40分前

しっかりとした赤:50分前

最後に、NG環境についても触れていきましょう

① 室温の室内(要するに常温保存)

ワインがあっと言う間に熱劣化し始めます。

② 直射日光の当たる場所

1日でワインが完全に劣化します。

この二つは絶対に絶対に避けましょう!

ほんのちょっとの気遣いで、ワインは美味しく保存することができます。

面倒と思わずに、ワインにとって好ましい環境に保存してあげてください!