2021年3月14日3 分
今回は、より質感のあるスープを題材に、酸味、風味、質感の3つの要素を用いながら、攻略していきます。
空豆のポタージュ、が今回のお題。
ポタージュですので、飲むというよりも「食べる」という感覚もあるスープです。前回のお椀とは、また違ったアプローチが必要になります。
では、スープとワインのペアリングにおける最重要項目である質感から考えていきましょう。
一般的なレシピですと、空豆、玉ねぎをミキサーにかけて牛乳を加え、バター、塩で味を整えていきます。
ポタージュならではの、滑らかで豊かな質感を、ワインでどのように対応させていけば良いでしょうか?
鍵となるのは、樽と熟成です。
行き過ぎない程度に新樽を使用して、ボリュームと滑らかなテクスチャーが加えられ、若い段階では少し乾いたニュアンスもある樽からのタンニンがこなれてきたタイミングのワイン。
ヴィンテージから5〜8年程度の熟成が目安です。
また、質感のあるスープといえど、高アルコール濃度のワインだと、強すぎてしまいます。
13.5%ぐらいを上限と考えた方が良いでしょう。
このように、質感のマッチングは、かなりの経験と知識を要求されることも多いので、簡単にはいきませんね。
では、風味はどうでしょうか?
空豆の爽やかな風味は、ワインの場合は、ハーブ的な風味と近しいものがあります。
冷涼気候のワイン、であることが鍵になりそうです。
Sauvignon BlancやSilvaner、Grüner Veltliner, Malvasiaといった葡萄品種からも、品種由来のハーブ的な香りがするのでおすすめです。
さらに、牛乳やバターの風味にも着目してみましょう。
明らかにMLF発酵をして、乳酸が多く含まれたワインの方が、相性が良さそうです。
樽からくる風味も、牛乳やバターとは親和性が高いですね。
では最後に、酸味を考えていきます。
空豆のポタージュには、ワインの酸と対抗出来そうな酸味はありません。
ですので、料理の酸とワインの酸をできるだけ近づける、という手法が使えません。
この場合は、料理の塩分に着目しましょう。ワインの酸味と中和できるだけの塩分があれば、ペアリングの完成度が高まります。
空豆のポタージュとワインをペアリングする場合、ポタージュも少しだけ塩やバターを多めにしておいた方が良さそうです。
そしてワインの酸も、強すぎない方が良いでしょう。
さて、整理整頓してみましょう。
といった感じで、条件が整理できました。
かなり特殊な条件が揃ったので、ワイン選びは難航しそうですね。
1. ボルドー白(あまり樽が強すぎないもの)
2. オーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナー(樽熟成タイプ)
3. ドイツ・フランケンのジルヴァーナー(なるべく上等なもので)
4. ポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデ(樽熟成タイプ)
5. ロワールのプィィ・フュメ(サンセールよりふくよかな傾向、樽熟成タイプ)
辺りは、比較的探しやすそうです。
今回は、やや複雑なケースの検証となりましたが、理論的にしっかりと道筋を立てて考えていくと、成功にグッと近づけます。