2021年1月19日15 分

新潟ワインコーストを彩る超個性派ワイナリー(新潟特集後編)

最終更新: 2021年1月27日

CAVE D’OCCI カーブドッチ・ワイナリー

<写真;カーブドッチ外観>

「新潟ワインコースト」の中核を担うカーブドッチは、現在8.6ヘクタールで21種類の葡萄品種を栽培している。総生産量は9万本、アイテム数は40種類に及ぶ。イングリッシュガーデン調に美しく整備された敷地内には、直営ショップやレストラン、宿泊施設や温泉まで併設され、まさにワイナリーリゾートとして展開されている

4年間フランスで過ごし、2003年にカーブドッチに参画、2006年から醸造責任者を経て現在役員として総合的な指揮をとる掛川史人さんに案内して頂いた。

<写真;掛川史人さん>

「売りに行くのではなく、買いに来てもらう」

土曜の午前、カーブドッチのワイナリーショップは多くの客で賑わっていた。テイスティングカウンターを中心に、センス良くワイン関連のグッズや食品がセレクトされた店内。ワイン好きなら見ているだけで、あっという間に時間が過ぎそうな楽しい空間だ。

最初に試飲したワインは、アルバリーニョ 2019敷地内角田浜の自社畑産葡萄から造られるセパージュシリーズで、正にこの土地の風土をストレートに表現した新潟の軽い砂地で造るアルバリーニョの個性を語るベンチマークとなるワインだ。

土地にあった適正品種、適正栽培にたどり着くまでというのは、醸造である程度調整していくことが必要だが、アルバリーニョは圧倒的に他の品種と比べて栽培しやすく、より品質の高い葡萄を得ることにフォーカスできる。2019年までは自社畑産アルバリーニョだけを使用していたが、2020年からは契約農家からの葡萄が入荷している。県外だと山形の農家のスキルが高く、今後増えていきそうだ。

と掛川さんは話してくれた。

3日間低温浸漬してから、ステンレスタンクで発酵セラーの温度を10℃に管理し、ゆっくりと発酵を進めながらもブレットや乳酸菌などの繁殖を抑制している

音楽に例えるならクラシックのように正確で緻密なワイン

と掛川さんは表現する。抜栓してから10日目のボトルというが、豊かな果実味が生き生きと感じられ、クリーンで程よい塩味が食欲をそそる。

<写真;掛川さんとアルバリーニョボトル>

このセパージュシリーズでは、アルバリーニョの他にシャルドネピノ・ノワールカベルネ・ソーヴィニヨンなどヴァラエタルワインや、フラッグシップワインとして赤・白それぞれ複数の品種のブレンドで造る「サブル(=フランス語で砂という意味)」が生産されている。

醸造家としての趣味のワイン

どうぶつシリーズ

ジャズのように自由度が高い

掛川さんがそう語るどうぶつシリーズからは、うみがめ 2019を試飲した。自社畑産のソーヴィニヨン・ブラン3日間低温浸漬することで、香りや風味、テクスチュアを引き出すSO2無添加で果汁の段階から酸化的なアプローチ、発酵はステンレスタンクで行い、熟成には一部木樽も使用している。香りが強い一般的なマールボロスタイルのソーヴィニヨン・ブランとは違い、控えめなアロマで柑橘類や洋梨のような果実に、じわじわと旨味が追いかけてくる印象。「設計図ありきで組み立ていく建築家タイプ」と、掛川さん。

もうひとつ、どうぶつシリーズから試飲したやまどり飛ぶ 2019は、掛川さん曰く、「音楽に例えるなら”J-Pop”なワイン」青森と山形産のスチューベンをベースに、キャンベルデラウェアなどのラブルスカ種をブレンドした3.5気圧程度の発泡性ワインで、いわゆる「お土産ワイン」の進化系。にごりのあるオレンジの色調で、余計な甘さのない大人のファンタグレープだ。何も考えずに飲んで美味しく、そして楽しい。こんなワインをお土産にもらったら、素直に嬉しいと思う。ちなみに「やまどり鳴く」は、同じベースワインで1気圧程度の微発泡ワイン。遊び心満点!

<写真;やまどり>

自社畑のサンジョヴェーゼから「あなぐま」、シャルドネから「もぐら」、ピノ・ノワールからは「ふらみんご」。また、北海道余市のケルナーから造る「ぺんぎん」などなど、どうぶつシリーズは、掛川さんが醸造家としての個人的な興味の赴くままに自由な感性で造るワインで、型にハマらない楽しさが、かわいい動物のイラストのラベルと相まって人気を博している。

<写真;どうぶつシリーズ>

その他には、本格的な伝統的製法で造るスパークリングワインや、気軽に楽しめるにごり微発泡ワインのペティヤンシリーズ、契約農家から仕入れた葡萄で造るテーブルワインのミリュシリーズに加えて、普段あまりワインを飲まない若い世代をターゲットにした新しいシリーズ「FUNPY」が登場している。これは、食用葡萄にヴィニフェラを混ぜて造る、ポップでキュートがコンセプトのワインだ。

<写真;FUNPY>

それぞれの生産量は決して多くないため、流通に乗せるには限界があるかもしれないが、創業時からのコンセプトは「売りに行くのではなく、買いに来てもらう」だ。遠方からでも訪れる人々を楽しませ、幅広い消費者にアピールするワイン造りと経営方針を着実に実践している。

Winery & Restaurant Fermier フェルミエ

<写真;フェルミエ外観>

カーブドッチのすぐ隣でワイナリーとレストランを営む本多孝さんは、元証券マン。ワイン好きが高じて、2003年カーブドッチの「ワイナリー経営塾」に応募。2005年に勤めていた会社を辞め、東京から新潟に家族で移住し、有紀夫人と共に夫婦二人三脚で第2のキャリアをスタートさせた。

フェルミエ」とは、フランス語で「農家」を意味する。夕暮れ前の葡萄畑をまず案内してくれた本多さんは、農家のワインを造る、正にフェルミエだった

ワイナリーのすぐ脇には、2005年に最初に植樹されたアルバリーニョの区画があり、ここが本多さんの原点だ。その隣の区画にはカベルネ・フランが栽培されている。

<写真;本多さん>

なるべく自然なままの栽培で土地の個性を伝えるワインを造りたい

と語る本多さんは、化学肥料や農薬を使用しない栽培を行っている。よく見ると、葡萄の樹皮がきれいに剥がされていた。これは葡萄樹の樹皮に寄生する害虫で、ウイルスを伝播する媒介者としても厄介なカイガラムシを防ぐ対策だ。

<写真;フェルミエのアルバリーニョ>

カーブドッチの施設を横切り反対側のエリアには、ネギや大根の畑に並んで、2012年に植樹した別のアルバリーニョの区画がある。ここは苗木の中に少量のシャルドネが混ざっていたそうで、意図せず混植となっていて、そのまま混醸して「エル・マール ドゥーオ」というワインを生産している。

元々ブルゴーニュワインが大好きで、ワインを造るからにはピノ・ノワールにチャレンジしたかった。でも、この土地がピノ・ノワールの栽培に適しているとは決して言えない。

隣には、自らチャレンジと語る、ピノ・ノワールの区画がある。ドイツのシュペートブルグンダー、ディジョンクローンの115/667/777、Abelを2013年に植樹し、砂質土壌のピノ・ノワールを表現しようと、試行錯誤を続けている。

フェルミエでは、「新潟ワインコースト」内の自社畑の他に、2010年以降、信濃川の支流の中ノ口川沿いの2カ所でもアルバリーニョを栽培している。ひとつは東萱場地区で、ここは垣根式での委託栽培。もう一つは新飯田地区で、もともと棚式栽培を行っていた農家に2011年から委託栽培を開始し、2016年に譲り受け現在はフェルミエの自社畑となっている。このエリアはもともと梨、りんご、桃などの果樹栽培が盛んな場所で、海の影響は受けにくい同じ砂質でも川の砂で、越前浜・角田浜とは異なるテロワールだ。

夏場は外気温が30℃を超える暑さになることから、醸造所の外壁や扉は断熱効果の高い分厚い構造になっており、しっかりと温度管理が徹底されている。なるべく葡萄やワインにストレスを与えないよう、亜硫酸使用は最小限に抑え移動は重力を利用するなど工夫しているという。

渾身のアルバリーニョ テイスティング

海を意味するエル・マール」を新潟ワインコーストにある自社畑のアルバリーニョのワイン名につけることで、2カ所の異なるテロワールを分類している。以下、試飲順にコメントを記す。

アルバリーニョ(スタンダード)2019

新飯田の棚式栽培の葡萄を使用。除梗・破砕し一晩スキンコンタクトを行ってステンレスタンクのみで醸造している。桃やアプリコット、オレンジの花のようなフローラルなアロマで、親しみやすいフルーティなワイン。やや高めの酸味と後味に塩味を感じる。

エル・マール アルバリーニョ 2019

越前浜の垣根栽培の葡萄を使用。このワインは例年は全房のままプレスを行うのだが、2019年は熟度が上がりにくく葡萄の状態をみて除梗破砕を行ってから直ぐにプレスをしたのだそう。ややタイトな印象で、海のミネラルを感じる、全体を引き締める酸味のフォーカスがあり、余韻が長い。

アルバリーニョ・バリカ 2019

新飯田の葡萄を使用し、ステンレスタンクで発酵後、フレンチオークで熟成させている。ほんのりと樽由来のヴァニラのスパイスを感じつつ、熟した桃やアプリコットの果実風味とよく調和している。

エル・マール デューオ 2016

アルバリーニョとシャルドネの混植混醸ワイン。瓶熟成による落ち着いた果実風味と若干の揮発酸が、ワインに複雑味とユニークさを与えている。

エル・マール・マセラシオン 2019

越前浜の葡萄を除梗し、果皮と一緒に野生酵母で発酵したいわゆるオレンジワインだが、外観はやや濃いめのイエローに留まる。樽熟成も行っていて、ボディがしっかりとあり、果皮由来のフェノールが程よくアフターに苦味をもたらしている。

アルバリーニョ・パシフィカード

東萱場の葡萄を干して風味を凝縮させ、樽熟成したユニークな造り。甘口ワインを連想させるパッシートという意味のネーミングだが、このワインは辛口で蜂蜜のようなリッチな味わい。

エル・マール・ススロ・デ・ラ・ティエラ 2019

スペイン語で”大地のささやき”と名付けた、SO2無添加、野生酵母発酵で造った特別キュヴェ。若干の残糖が感じられるオフドライで、スケール感のあるワイン。

アルバリーニョ・エスプモーソ

伝統的製法で造るスパークリングワイン。溌剌とした泡立ち、爽やかなアルバリーニョの果実風味が楽しめる。これはテイスティング後、ディナーの最初に頂いたのだが、本格的なコース料理が頂けるワイナリーレストランでは、必須アイテムだろう。

アルバリーニョだけで8種類フェルミエアルバリーニョにかける情熱と強いこだわり、新しい表現にチャレンジし続ける本多さんの探究心が見てとれた。同時に、この品種の汎用性や、新潟におけるポテンシャルもはっきりと感じることが出来た

<写真_Fermier Albarino>

その他に、赤ワインを2種、試飲した。

カベルネ・フラン2017

これがとても秀逸で、スミレの花やベリー系のアロマが綺麗に立ち上がり、ミディアムボディで細身ながら線の長い酸味に支えられたエレガントなワイン。砂質土壌の軽やかさがワインからも感じられ、ジューシーでフラン特有の青っぽさはない。アルコール12.5%、30%は全房発酵を行っている。

ピノ・ノワール2017

ブルゴーニュ好きの本多さんがチャレンジするピノは、筆者にとってはオーストラリアのギップスランドを連想させた。海に近く雨が多い、湿度のある産地という点が共通している。カツオ梅のような、赤い果実にヨードの旨味が感じられる柔らかく軽いワイン。「まだまだ発展途上」と本多さん。多くの偉大なブルゴーニュを飲んでいる経験を持つ本多さんにしか造れない、砂地のピノに今後も期待したい。

<写真_Fermier PN>

Domaine Chaud ドメーヌ・ショオ

<写真_ドメーヌ・ショオの葡萄畑>

自然体の奥に潜む緻密さと、突き抜けた個性

2008年にカーブドッチの「ワイナリー経営塾」を受講し、「新潟ワインコースト」3軒目となるドメーヌ・ショオを2011年にオープンした小林英雄さんは、旅とお酒が好きな両親の元、幼少期をドバイで過ごし、自然とワイン造りの道へ進んだ。

感性の醸造家と思いきや、筑波大農学部で生物資源学を、大学院では地球環境科学を専攻し、生命共存科学で博士号を取得しているゴリゴリの理系理論派だ。学生時代に1年間オーストラリアのワイナリーで研修したり、将来のワイナリー経営のためにビジネスコンサルティング会社に勤務した経験を持つ。

ワインなんて誰でも簡単に造れますよ。ショートメールで造り方、送りましょうか

と開口一番、笑い飛ばす。そこからジェットコースターのような展開のトークで、まるでお笑い芸人を訪ねたような時間だった。

人生なんて、暇つぶし。いかに与えられた暇を楽しくするかで、人生が決まる。

と語る小林さんは、自分の幸せのためにワインを造っていると言う。

ワインは嗜好品。万人が美味しいと思うワイン造りなんて興味がない。飲むのは好きだが、お酒に強くないからたくさんは飲めない。そんな自分が飲みたいと思うワインを造りたいだけ。

哲学も明快だ。

<写真_小林英雄さん>

葡萄畑では、土、微生物、畑をとりまく環境の生態系を豊かにすることを大切に、そして、それらすべての生命力が詰まったワイン造りにつなげる、というコンセプトだ。

そんな小林さんが造るワインは、とても自然体で個性的だ。テイスティングルーム奥のセラースペースでテイスティングさせて頂いた。

キャンベル 2020は、新潟県見附市の契約農家から仕入れた葡萄で仕込んだわずかに濁りのある濃いめのロゼワイン3日間のスキンコンタクトで色素を抽出し、ドライに仕上げている。野生酵母による発酵、亜硫酸は無添加で、無濾過で瓶詰め。気軽にスルスルと飲めるチャーミングなロゼワインだ。

<写真_キャンベル>

風薫 Kaze kaoru 2019は、角田浜の自社畑産カベルネ・ソーヴィニヨン。2013年に植樹した風の強く吹き抜ける区画で、無農薬で栽培している。ロゼか、だいぶ熟成が進んだかのような淡い色調で、枯れた味わいは、よく言えば滋味深い。こちらも野生酵母による発酵、亜硫酸は無添加で、無濾過で瓶詰め。「樽に入れていい感じに仕上がっていたのに、油断して樽から出すのが2カ月くらい遅れてしまった」のだとか。

<写真_風薫>

Thank you so much for encouraging me.2019 / 励ましてくれてありがとう、通称“かえる”は、青ガエルのイラストが描かれた樽熟のメルローで、「腐らせ系!」と小林さん。揮発酸、ブレット、アセチルピロリン(マメ)といった醸造欠陥が惜しみなく発揮されたワイン。もはや筆者理解不能・・。教科書の真逆を突っ走る、独特の世界観だ。

最後に、小林さんが徐にタンクから取り出してきたワインは、デラウェアを約1カ月間醸したオレンジワインJolly Jolly Holiday 2020 / ジョリジョリホリデー」。リリース時期は未定、現行ヴィンテージ2019は完売、空き瓶のラベルを見せてもらって、大爆笑!

<写真_ジョリジョリホリデー>

もはや誰も真似できない個性と感性で、ここまで突き抜けると爽快だ。

ドメーヌ・ショオの「ショオ」は小林の「小」とフランス語で「熱い」を意味する「Chaud」をかけている。試飲したワイン以外に、全部で30種類、お察しの通りユニークなネーミングとラベルデザインの楽しいワインを、合計年間15000本生産している。

帰り際、小林さんが「見せたいものがある」と少年のような目で隣の倉庫の大きな扉を開けた。そこには、今シーズンの仕事を終えた醸造器材が置かれていたのだが、見せたかったものというのは、壁に自作したボルダリングだった。高い天井を見上げると、吊り下げ収納にたくさんのマットレスが重ねて置かれていた。

<写真_倉庫に設置されたボルダリング>

小林さんは常々、ワイナリーツーリズムは大人の楽しみで、連れられて来た子供たちが退屈そうにしているのをどうにかしたい、と思っていたそう。

醸造期以外は使わないスペースを、子供たちが楽しめる場所に変え、子供向けのイベント開催も計画しているという。子供心に、ワイナリーが「大人に付き合わされて渋々いく退屈な場所」ではなく、「楽しく遊べる場所」になったら、きっと健全に将来ワインが大好きな大人に成長してくれるに違いない。

今回訪問した3軒のワイナリーは、三者三様、背景もアプローチも全く異なるそれぞれの「新潟ワインコースト」を見せてくれた。今回は時間の都合で訪問できなかったが、あと2軒「カンティーナ・ジーオセット」と「ルサンクワイナリー」も、またの機会に是非訪問したい。

日本におけるワイナリーツーリズムの理想形

「新潟ワインコースト」の5軒のワイナリーは、歩いて行き来できる距離にあり、それぞれがテイスティング可能なショップを併設している。海外のワイン産地のように、ワイナリーからワイナリーへと車で移動する必要はなく、新潟駅からシャトルバスも運行しているので、ドライバーが飲酒できない問題も解決だ。

中核となるカーブドッチは、前述の通り、ワイナリーショップだけでなく、地元の物産を取り揃えたマルシェも併設する「ベーカリー&カフェ コテアコテ」や、自家製ビール&ハム・ソーセージを提供するカジュアルレストラン「薪小屋」、2019年11月にオープンしたラグジュアリーなオーベルジュスタイルの「WINERYSTAY TRAVIGNE ワイナリーステイ・トラヴィーニュ」、日帰り温泉とアヴェダのサロン&スパ、宿泊施設が一体となった「VINESPA ヴィネスパ」を敷地内に運営している。

日帰りでも楽しめるが、これだけの施設が揃った理想的なワイナリーリゾートなので、ぜひ泊まりで、あわよくば、連泊で訪れたい。

トラヴィーニュにステイすると、掛川さんの「どうぶつシリーズ」に登場する動物たちが各客室の名前になっている。テラスの目の前には葡萄畑、その奥には角田山を望む長閑な景色が広がり、ラウンジには大きな暖炉とゆったりとしたソファーが配置され、日本にいることを忘れそうになる贅沢な空間に浸れる。

地下1500メートルと1200メートルの深い地層から湧き出るとろりとした泉質が特徴の温泉は、朝6時からオープンしているので、早起きして露天風呂から日の出を拝むのもオススメだ。

ヴィネスパには和食レストラン「湯楽」があり、こちらでは海と山の新鮮な幸を使った和食とワインのペアリングも楽しめるので、海外からの来客も満足してもらえることだろう。

筆者がディナーを頂いたフェルミエのレストランは、期待を大きく上回る素晴らしいクオリティだった。地元新潟出身の坂井祐介シェフがフレンチをベースに出汁の旨味を取り入れ、地元の豊かな食材を使い、ワインとペアリングする新潟ローカルフレンチを提供している。

飲んで食べてと、運動不足が気になる方には、散歩がてらに海まで歩いて佐渡ヶ島に沈む夕日を眺めるもよし、もう少しアクティブに動きたければ、角田山に登ってみるのも楽しそうだ。標高481.7メートルのなだらかな山容に、山頂まで1〜2時間の7つの登山コースがあるそうだ。

季節を変えて、何度でも訪れたくなる魅力が溢れている。

新潟ワインコースト https://www.docci.com/winecoast/

<プロフィール>

高橋 佳子 / Yoshiko Takahashi DipWSET

Y’n plus

兵庫県生まれ。

2000年、大阪北新地のワインバーでソムリエ見習いとしてワインの世界に足を踏み入れる。

2002〜2003年渡豪、ヴィクトリアとタスマニアのワイナリーで研修。帰国後、インポーター勤務時に上京。ワイン専門卸会社勤務を経て、2013年よりフリーランス。

ワインスクール講師、ワイン専門通訳&翻訳、ワインライター、ワインコンサルタントなど、ワイン業界でフレキシブルに活動する。

2016年、WSET® Level 4 Diploma取得

2017年、PIWOSA Women in Wine Initiative 南アフリカワインのインターンシッププログラム参加

2018・2019年、Royal Hobart Wine Show International Judge

2019年より、WOSA南アフリカワイン協会の日本窓口も務める