2022年7月1日6 分

銘醸地のカジュアル赤ワイン、世界NO.1決定戦

日常の私は、カジュアルなワインばかりを飲んでいる。

カジュアルな価格帯で良いワインを探し出してこそプロフェッショナルだ!なんてのは建前で、仕事で散々ワインの事は考えるので、オフの時間くらいはあまり頭を使わずに済むワインを飲みたい、というのが本音だ。

マイナー産地のカジュアルワインも好きなのだが、実は銘醸地のカジュアルワインはもっと好き。さすがのテロワールの底力を感じさせられることが多いからだ。

さて、そんな銘醸地カジュアルワインに癒される日々の中、ふと思い立った。

世界各地に、カジュアルの枠を超えた素晴らしいワインがあるが、果たしてどのワインが最も優れているのか?と

そういえば、このテーマに関して、冷静に客観視したことが一度も無かった。

ということで、ここに開催を宣言する。

第一回「銘醸地のカジュアル赤ワイン、世界NO.1決定戦」を!!

審査員は私、選考も私。

完全に独断だが、偏見も度も一切無しで争って頂こうかと思う。

エントリー条件は以下の通り。

1. その産地の顔となるワインが、世界的な銘醸ワインであること

2. 各地のワイン法にて、明確に下位のアペレーション(もしくはスタイル)が定められていること、もしくは特定の広域アペレーションが、実質的な下位として機能していること

3. 平均価格が5,000円を下回ること

では、第一回の覇者を争う俊英たちを紹介して行こう。

フランス代表

1. Bourgogne(価格面が怪しいが、ぎりぎりエントリー)

2. Bordeaux 3rd Label(2ndは価格でアウトなものが多いので、3rdがエントリー)

3. Côtes-du-Rhône(実質的に下位アペラシオンに位置付けられるので、エントリー)

イタリア代表

4. Nebbiolo d’Alba(ピエモンテ代表)

5. Rosso di Montalcino(トスカーナ代表)

6. Rosso di Montepulciano(同州のライバルを超えられるか)

7. Montefalco Rosso(ダークホースとして期待)

8. Iripinia Rosso(こちらもダークホースとして期待)

スペイン代表

9. Rioja Joven(スペイン代表として唯一のエントリー)

枠外エントリー

10. Napa Valley Cabernet Sauvignon(このAVAで超高級ワインも多々存在するため、あくまで枠外エントリーとして)

ヨーロッパの銘醸地の中でも、明確に下位のアペラシオンが存在するエリアはそこまで多くなく、当然、ニューワールドにはほとんど存在していないので、エントリーは3カ国に留まってしまった。イタリアからのエントリーが多かったのは、イタリア特有の原産地呼称制度が理由。ナパ・ヴァレーはAVA内に実質的な上位となるサブAVAが制定されているが、価格面での振れ幅が大きすぎるため、枠外としてエントリーさせた。

これでは世界選手権ではなく、ヨーロッパ選手権だ、なんて正確無比なツッコミはご勘弁。

次は、評価ポイントについて、簡単に説明して行く。

1. コストパフォーマンス(品質の絶対値ではなく、価格に対する価値付けとして)

2. 知的満足感(メインワインが有名であればあるほど、ポイントは基本的に高くなる)

3. 早飲み指数(カジュアルである以上は、早飲みできるにこした事はない)

この三項目を、それぞれ5点満点で評価し、合計点によって王座を争っていただく。

では、行ってみましょう!

第1エントリー(Bourgogne)

上位ワイン:村名格、一級畑、特級畑など

コスパ:2

知的満足感:3

早飲み指数:4

合計9ポイント

解説:収量やテロワールが品質と直結するピノ・ノワールの特性が、コスパ部門の低評価に繋がった。知的満足感も、広域ブルゴーニュでは満点には遠く届かない。村名格であれば知的満足感は満点評価だったが、現在の価格では対象外。

第2エントリー(Bordeaux 3rd)

上位ワイン:2nd、1stラベル

コスパ:2

知的満足感:3

早飲み指数:3

合計8ポイント

解説:3番目のブレンドではエッセンスが薄まり過ぎる。コスパ面もそうだが、知的満足感も低評価に。ボルドー品種とボルドーという組み合わせでは、早飲みにも限界がある。

第3エントリー(Côtes-du-Rhône)

上位ワイン:Châteauneaf-du-Papeなど

コスパ:4

知的満足感:2

早飲み指数:4

合計10ポイント

解説:早飲み指数とコスパでは高得点をマークしたが、ローヌ自体の知名度、上位ワインとの繋がりの薄さが足を引っ張る結果に。

第4エントリー(Nebbiolo d’Alba)

上位ワイン:Barolo, Barbaresco

コスパ:5

知的満足感:4

早飲み指数:4

合計13ポイント

解説:コスパは文句なしの満点評価。知的満足感も、バローロ、バルバレスコの知名度を鑑みて高評価に。早飲み指数も限りなく満点評価に近いが、ブレ幅がそれなりにあるため、マイナス1ポイント。

第5エントリー(Rosso di Montalcino)

上位ワイン:Brunello di Montalcino

コスパ:4

知的満足感:4

早飲み指数:3

合計11ポイント

解説:コスパはハイレベルだが、ピエモンテよりは少し劣るか。知的満足感も、やはり(上位ワインの)バローロに比べるとブルネッロはやや物足りないが、僅差なので同点評価とした。リリース時は固いワインも多い。

第6エントリー(Rosso di Montepulciano)

上位ワイン:Vino Nobile di Montepulciano

コスパ:5

知的満足感:2

早飲み指数:2

合計9ポイント

解説:コスパはピエモンテ代表と並んで最高評価、というか全イタリアでも最強クラス。しかし、ヴィノ・ノーヴィレはマニア向けの銘醸地であり、ワインもブルネッロより明らかに固いことから、知的満足感と早飲み指数のポイントが低評価となった。

第7エントリー(Montefalco Rosso)

上位ワイン:Sagrantino di Montefalco

コスパ:4

知的満足感:1

早飲み指数:3

合計8ポイント

解説:ダークホースとして期待されたが、知的満足感の低さが大きく足を引っ張る結果に。早飲み指数もそこまで高くはならなかった。

第8エントリー(Irpinia Rosso)

上位ワイン:Taurasi

コスパ:4

知的満足感:1

早飲み指数:4

合計9ポイント

解説:こちらも期待のダークホースだったが、合計ポイントが伸び悩んだ。コスパ、早飲み指数は優秀だが、イルピニアをタウラージの実質的な下位と認識している人があまりにも少なく、タウラージ自体の名声も、日本ではイマイチ。

第9エントリー(Rioja Joven)

上位ワイン:Riserva, Gran Riserva

コスパ:5

知的満足感:4

早飲み指数:5

合計14ポイント

解説:エントリー時点から、優勝候補と目していたが、Nebbiolo d’Albaを合計点で1ポイント上回り、優勝。知的満足感は、優勝を争ったピエモンテ代表に僅かに劣るが、僅差なので同点評価。コスパ、早飲み指数はともに文句なしの満点評価。

枠外エントリー(Napa Valley Cabernet Sauvignon)

上位ワイン:Rutherford, Oakvilleなど

コスパ:2

知的満足感:5

早飲み指数:3

合計10ポイント

解説:枠外エントリーなので、あくまでも参考としての評価。全体的に価格が高いので、コスパ部門では低評価に。知的満足感は、サブAVAよりもNapa Valleyという名の方が遥かに高い知名度を誇るため、本大会唯一の満点評価。早飲み指数も、カベルネの特性上、そこまで高くはならなかった。

という事で、優勝はRioja Joven準優勝はNebbiolo d’Albaとなった。結果としては、ほぼ2強とも言える争いになったのも、実に興味深かった。

改めて、自分が好んでいたカジュアルワインの立ち位置を知れたのも楽しかったし、これでもっと自信をもって断言できるだろう。

銘醸地のカジュアルワイン?

リオハかピエモンテが最強ですね、と。