4月3日4 分

Advanced Académie <34> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Meursault周辺

ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの新シリーズ。

 

ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。

 

本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。

 

SS:最上位の特級畑クラス

S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当)

A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当)

B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当)

C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当)

D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当)

 

一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。

 

第六回はムルソー周辺をテーマと致します。

 

白ワインの銘醸地ムルソーを取り囲むAOCには、品質面でこそ特級畑クラスに近づくようなワインはほとんど見受けられませんが、慎重にワイン選びをすれば、コストパフォーマンスに長けたワインに出会える可能性も高いエリアとなります。

 

コルトンの丘周辺と同様に、ブルゴーニュが高騰した今だからこそ、改めてしっかりと学んでいくべきエリアと言えるでしょう。

 

では、各AOCの解説及びクリマのランキングに移りましょう。

 

Monthélie

Rouges : 109.65ha(34.52ha 1er Cru)

Blancs : 18.11 ha (2.11ha 1er Cru)

一級畑:15

Monthélieはややマイナーな部類のアペラシオンとなりますが、総じて秀逸なワインが多いと言えるでしょう。

 

白ワインにも高品質なワインが散見されますが、生産量も含め、基本的には赤ワイン主体のアペラシオンです。

 

赤ワインに優れた一級畑の大分部は、Volnayからの地続きとなるアペラシオン南東部にあり、基本的にはVolnay南部の酒質を引き継ぎながらも、より繊細で線が細く、明るい果実味が主体のフレッシュな味わいとなります。

 

一方の南西部では、果実味の濃縮度がやや上がり、ストラクチャーも力強くなりますが、少々粗野でフィネスに欠ける傾向があります。

 

白ワインで秀逸なワインが見受けられるクリマは、それぞれアペラシオンの南東及び南西に一つずつあります。

 

赤ワインのクリマ

南東部

Les Champs Fulliots (C)

Les Vignes Rondes (C)

Le Clou des Chênes (C)

Sur la Velle (C)

Le Meix Bataille (D)

Les Riottes (D)

 

南西部

Les Duresses (C)

Les Clous  (D)

 

 

白ワインのクリマ

南東部

Les Champs Fulliots (C)

 

南西部

Les Duresses (C)

 

 

 

Auxey-Duresses

Rouges : 91.54ha(27.11ha 1er Cru)

Blancs : 49.36 ha (3.47ha 1er Cru)

一級畑:9

近年はMeursaultにも似た性質の白ワインが脚光を浴びていますが、生産量は赤ワインの方が多く、一級畑に関しては圧倒的に赤ワインが主体となっています。

 

一級畑はアペラシオンの北東部にのみ集中しています。

 

Les DuressesはMonthélie南西部にある同名のクリマと同じ葡萄畑で、その性質も同様となります。

 

そこからさらに西側のクリマ(Les Bréterins、 Clos du Valなど)では、より凝縮度とパワーが増しつつ、洗練されたストラクチャーを得ます。

 

白ワインは村名格の畑から、クラスを超えた秀逸なワインが散見されます。その酒質はまさにミニ・ムルソー的なもので、コストパフォーマンスも総じて高い傾向にあります。

 

赤ワインのクリマ

Clos du Val (C~B)

Climat du Val (C)

Les Duresses (C)

La Chapelle (C)

Les Bréterins (C)

Bas des Duresses (D)

Les Ecussaux (D)

Reugne (D)

Les Grands Champs (D)

 

 

白ワインのクリマ

Les Boutonnieres(C):村名格

Les Clous(C):村名格

Les Hautés (C):村名格

 

 

 

Blagny

Total : 4.46ha(4.1ha 1er Cru)

一級畑:7

高標高エリアとなるBlagnyは、Hautes-Côtes de Beauneと同様に、かつては「葡萄が熟さない」と見なされていましたが、近年は温暖化により大幅な改善傾向にあります。

 

アペラシオン自体が非常に狭く、その大部分が一級畑となっているのも特徴的です。

 

また、北部の一級畑から造られる白ワインはMeursault-Blagny 1er Cruとして、南部のワインはPuligny-Montrachet 1er Cruリリースされる点も、赤ワインのアペラシオンとしてのBlagnyの小ささに繋がっています。

 

赤ワインが秀逸な一級畑は3クリマのみ。

 

冷涼なマイクロ気候による高い集中力と緊張感のある味わい、端正なテクスチャーが特徴となります。

 

生産量の少なさから、非常にレアでニッチなワインとはなりますが、コストパフォーマンスには優れています。

 

赤ワインのクリマ

La Pièce sous le Bois (C)

Sous le Puits (C)

La Jeuneliotte or La Genelotte (C)

 

 

 

Saint-Romain

Rouges : 38.04ha

Blancs : 69.51 ha

一級畑:なし

Saint-Romainは村名格畑のみのアペラシオンとなります。

 

一級畑が存在していないのは、高標高エリア故にかつては冷涼過ぎて低評価されていたことが理由ですが、温暖化の影響によって、近年は品質が大きく向上しています。

 

赤白両方を生産しているアペラシオンですが、現在特に白ワインにおいては、一部の村名格畑が一級畑と遜色ない実力に至っています。

 

端正で緻密なテクスチャー、快活な酸、抑制の効いた果実味が特徴となります。

 

白ワインのクリマ

秀逸な村名格畑

Sous le Château(C)

Sous la Velle (C)

En Poillange (C)

Combe Bazin (D)

Le Jarron (D)

Perrières(D)