2月28日4 分

Advanced Académie <32> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Cortonの丘

ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの新シリーズ。

 

ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。

 

本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。

 

SS:最上位の特級畑クラス

S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当)

A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当)

B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当)

C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当)

D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当)

 

一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。

 

なお、クリマ内に含まれる小区画(lieux-dix)も一つのクリマとしてカウントしますが、どのクリマ内にあるかは表記しておきます。

 

第4回はCortonの丘をテーマと致します。

 

特級畑としての総面積は160.19ha

Aloxe-Corton側が120.51ha、Pernand-Vergelesses側が17.26ha、Ladoix側が22.43haとなっています。

 

白葡萄の栽培面積は約55ha黒葡萄の栽培面積は約105.2haとなっておりますので、白ワインとなるGrand Cru Corton-Charlemagneの高い名声と反し、赤ワイン(Grand Cru Corton)の生産量が上回っています。

 

なお、白ワインであっても法律上Cortonと表示することはできますが、不思議なことにCorton BlancはCorton-Charlemagneに比べると品質的に大きく劣ることが多々あります。

 

Cortonの丘は広大なクリマ故に、27ものlieux-dixが存在しています。

 

基本的には北西から西向き斜面となる北西部、西部から東部にかけての南西〜東向き斜面上部が白葡萄のゾーン、その他が黒葡萄のゾーンとなります。

 

今回は白ワイン、赤ワインと分けた上で、クリマ全体ではなくlieux-dixをランキングしていきます。

 

Grand Cru Corton-Charlemagne or Corton Blanc

Corton Rougeとは異なり、lieux-dix名が記載されることは極めて稀です。テロワールに準じたワインの性質を理解するには、その生産者がどのlieux-dixに区画を所有しているかを知る必要があります。

解像度の低いものしか入手できませんでしたが、一応地図を添付しておきますので、確認して見てください。白ワインのみ、代表的な生産者を今回は記載しておきます。

北西部ゾーン(北西〜西向き斜面)

lieux-dix:En Charlemagne、Le Charlemagne(S~SS)

 

重厚なアロマ、酸とミネラルによる強靭な骨格、張り詰めた緊張感が特徴的なゾーンとなります。Corton-Charlemagneの中でも際立って長期熟成能力が高くなります。

 

代表的生産者:Coche Dury、D.R.C.、Bonneau du Martray

 

 

西部ゾーン(南西〜南向き斜面)

lieux-dix:Les Pougets、Les Languettes(A~S)

 

アロマ、酸、ミネラルが調和した、バランス感に長けた酒質となります。長期熟成能力にも優れたゾーンとなります。また、大手ネゴシアンが区画を多く所有しています。

 

代表的生産者:Louis Latour、Louis Jadot

 

 

中央部〜東部ゾーン(南東〜東向き斜面)

lieux-dix:Le Corton、Les Renardes、Hautes Mourottes、Basses Mourottes(A~SS)

 

濃密なアロマ、柔らかい果実味、酸とミネラルはやや控えめなゾーンとなります。一般的にCorton-Charlemagneの中でも最も早熟タイプのワインが生まれます。Les Renardesの上部のみがS~SS評価で、その他のlieux-dixはA~S評価となります。

 

代表的生産者:Leroy、Faivelay(Les Renardes)、Bouchard(Le Corton)

 

 

 

Grand Cru Corton Rouge

黒葡萄の区画はAloxe-Corton内に集中していますが、一部はLadoix側にもあります。

 

最西部や中央部から東部にかけての斜面最下部など、明らかに特級畑として相応しくない区画も含まれているため、lieux-dixの選択が非常に重要となります。

 

一部の例外を除いて、単純にCortonとだけ記載されているワインは、その出自がはっきりとしていない限り、避けた方が無難とすら言えます。

 

西部ゾーン(西〜南向き斜面)

lieux-dix

La Vigne au Saint(A)

Les Perrières(A)

Les Grèves(B)

Les Chaumes, La Voierosse, Les Combes, Les Meix, Les Fiètres(C)

 

西〜南を向いた斜面は日当たりに劣ります。特に優れたリュー=ディでは、しなやかで繊細な果実味、軽やかな酸が特徴となる優美なワインとなりますが、特級畑というステータスには疑問が残ります。

 

中央部ゾーン(南東向き斜面)

lieux-dix

Le Clos du Roi(S)

Le Renardes(S)

Les Bressandes(A~S)

Les Maréchaudes(B),

Les Paulands(C)

 

広大なCortonの丘で、真に特級畑たる実力を有している2つのlieux-dixは、中央部に位置しています。最も日照に優れた南東向きの斜面は、凝縮した力強い果実味、頑強な骨格、存在感のあるミネラリティに特徴があり、フィネスも失われません。なお、最下部に近づくにつれ、品質が下降していきます。

 

東部ゾーン(南東〜東向き斜面)

lieux-dix

Clos des Corton(A)

Le Rognet et Corton(A)

Les Grandes Lolières(B)

Les Moutottes, Les Paulands, Les Carrières,

Les Vergennes(C)

 

傾斜が東方向へと近づく東部もまた、日照に劣りますが、より優れたlieux-dixは南東を向いています。中央部に比べるとやや渋みが強く、フィネスに欠ける傾向があります。