2021年8月15日3 分

ノンアルコール・ペアリング Vol.3

Vol.3では、実際に私が店舗で作っているドリンクを、レシピを含めてご紹介していきます。

4:ドリンク作製方法

~レシピ~

1000ml換算

モスト(黒ぶどう) 200ml

水         800ml (5倍希釈)

カシス       200g

グリオットチェリー 100g

ハイビスカス      5g

クローブ        1g

オールスパイス     2g

セージ         3g

アニス         2g

岩塩       1~1.5g

外見上ではこのようにワインとほぼ変わらないです

先ずはベースとなるモスト(黒ブドウ)を水と合わせます。

モストを使用する理由ですが、ベースとなる最も多い要素に風味を付ける事が目的で、ほのかな口当たりの甘み、酸味が主体となります。

モストと水の希釈率によって加糖するか、しないかが決まります

その後、クローブ、オールスパイスを入れて一晩水出しします。(約10時間程度)

別に行う理由としては、Vol.2で述べたように過剰な風味を付けたくない為です。

スパイス類を前面に出し過ぎると、乾燥物でもあるのでフルーティさが損なわれます

翌日、この二つを取り出した後、塩を除く他の材料を入れ、ハイビスカスは一度、お湯にくぐらせます。

材料を入れた後、約2日間漬け込みますが、日に2度、漬け込んであるフルーツを軽く押すように潰します

果汁を潰し過ぎないように気を付けて下さい。この後の濾過がとても大変になります。

ここでの果汁を上手く抽出することでフルーティさと質感、酸味が綺麗に出ます。

またスパイス以外での果皮由来のタンニンも出ます。

基本的には発酵させないだけでワイン造りとあまり変わらない工程だと思います。

都度、味見をしながら必要な果汁感、酸味のバランスが取れた段階で、濾過の工程に移ります。

安易にいきなりペーパーフィルターなどに入れないで下さい。

効率重視の為にも、先ずは大きな粒子を取り除くため、網目の細かい茶漉し等で濾過を行った方が結果、作業が早いです。

もしあれば25μ程度のポリエステル製マイクロフィルター等があればより早いです。

(高いものでは無いのであれば本当に便利です)

丁寧に濾過が出来ましたら。

水分量の1~1.5%程度の岩塩を加えて、加糖は一切行いません。

68℃で1.5h、低温殺菌し急冷して完成です。

もし真空パックにすることが出来れば保存性も上がり冷凍も可能なので

必要な際に都度、解凍して提供可能です。

追加して要素を加えるなら、複雑性を出すために少量のたまり醤油も面白いです。

気づかない程度に入れると、熟成的なアプローチになります。

より再現率を上げるのであれば、しし唐入れて青みを出すなどもあります。

カベルネのような青さを表現するイメージです。

ベースの希釈率変えてボタニカルの調整をすれば如何様にも変えられます。

このようなタイプは主にメインディッシュに合わせておりますので、濃度、酸味、塩味で味わいを構築して風味を食材に寄せて作るようにしております。

加糖しないことで食事後半でも楽しんで頂け、かつ食事との相性も狙えるように、エキス感、透明度、質感の滑らかさを重視して作っておりますのでぜひお試し下さい。

さて長文になりましたが、ここまでご覧頂き誠にありがとうございます。

まだまだ書ききれない事、細かいところも沢山ございますが、またいつかご紹介させて頂ければと思います。

ぜひLA BONNE TABLEにノンアルコールペアリング体験しに来て下さい。

ありがとうございました。

〈ソムリエプロフィール〉

戸澤 祐耶 / Yuya Tozawa

LA BONNE TABLE Manager & Chef Sommelier

1985年9月生まれ、秋田県出身。

銀座、三軒茶屋などを経て2015年よりLA BONNE TABLEへ勤務

翌2016年よりChef Sommelierとなり2019年よりManagerも兼任。

ソムリエとしてワインを扱いつつノンアルコールペアリングも独自の手法、観点で手掛ける。

<LA BONNE TABLE>

日本橋・コレド室町2にある、フレンチレストラン『ラ・ボンヌターブル(LA BONNE TABLE)』。

直訳は『美しい食卓』。フランスでは『美味しいレストラン』のことをそう呼ぶ。

ランチのプリフィクスコースとディナーはシェフのおまかせコースでモダンなフランス料理を提案する。料理に合わせたワインやノンアルコールドリンクとのペアリングも楽しめる。